事業再構築補助金を獲得し、新たな音響制作スタジオを設立!事業計画を作る際の注意点とは!?

  • インタビュー
  • 事業再構築補助金

株式会社LORETTA MARTIN(以下、ロレッタ)

代表取締役 野長瀬 美慧氏

▼企業紹介

映像に合わせて、高音質な音声を収録・編集する「音響制作」事業を展開。代表の野長瀬氏自身が声優として活動する中で、音響制作の仕事に携わる機会が多くなり、ロレッタを設立。野長瀬氏は日本とマレーシアのハーフということもあり、今後はマレーシアスタッフとも連携して、高クオリティかつ短納期な音響制作サービスを展開予定。

■音響制作事業

映像に合わせて、アニメやゲームなどの音声を収録・編集するなど、作品の「音」に関する工程全体を担当。高品質な音源を提供できることを強みに、大手企業からの案件も受注。『アルケミアストーリーMMO RPG(スマホゲーム)』・『EOS -エコーオブソウル- 最も危険なMMORPG(スマホゲーム)』・『スマカノ〜初恋、覚えていますか?(スマホゲーム)』などの音響制作実績あり。

■音響制作スタジオ事業

「ポストコロナ時代の新しいレンタル音響スタジオ」として『LORETTA studio』を設立。新型コロナウイルスによって日本音声製作連盟の規約が変わり、1つのスタジオで一度に収録できる人数が最大4名までに制限。今後の感染病対策にも配慮し、少人数ブースを複数台設置。それぞれのブースを通信により連結することで、収容人数をフレキシブルに変更する事が可能。複数の作品を同時進行で収録できるため、「作品収録本数の増加」と「制作全体にかかる時間の短縮」により、業界全体の課題解決を目指す。

インタビューでは代表取締役の野長瀬 美慧氏をお迎えし、事業再構築補助金の採択に至った経緯や、事業計画の重要性、創業時の資金集めの苦労などについて語っていただきました。


■事業再構築補助金の利用に至った経緯

小川:野長瀬さんご自身で作成されていた事業計画書も質が高く、弊社としてもサポートに入りやすかったです。その結果、事業再構築補助金も今回通ったのかなと考えています。弊社を利用する前から、そもそも事業計画書を作らないといけないという認識はあったのですか?

野長瀬:ポストコロナに適した音響制作スタジオ『LORETTA studio』を設立するため、事業再構築補助金を活用しました。『LORETTA studio』は、少人数用ブースが複数あり、そのブース同士を連結させることで、密接を避けて収録することが可能となっています。また、ブースごとに異なるシーンを同時進行で収録できるため、制作全体にかかる時間を短縮できます。業界全体で課題となっている収録スタジオの不足や、制作期間の長期化を解決する手段の一つになり得ると考えています。

小川:ありがとうございます。初めて構想をお聞かせいただいた際にも、大変素晴らしい取組みだなと私も感じておりました。事業再構築補助金をお知りになったキッカケを教えてください。

野長瀬:資金調達の方法について、先輩経営者から教えていただいたことがきっかけでした。資金調達について、先輩方からたくさん知見をいただいたのですが、あまり補助金については詳しくなく、「然るべき専門家に相談した方が良い」とアドバイスをいただき、御茶ノ水総合研究所に相談しました。

小川:弊社を利用するようになった決め手を教えてください。

野長瀬:創業当初は私自身が事業計画を策定し、資金調達も行っていたのですが、事業再構築補助金の申請も含め、全てを一人で対応するのが厳しく、御茶ノ水総合研究所に依頼する形となりました。鬼塚さん(御茶ノ水総合研究所 取締役)と話した際に、スケジュール感ややるべきことが明瞭で分かりやすく、ロレッタでも事業再構築補助金を獲得できるのではないかと感じました。私自身で調べた際は、ロレッタが事業再構築補助金の申請対象になりうるのか分からなかったため、どういったポイントを押さえて事業計画書を作成すべきか、どのようなスケジュールで申請を進めるべきかを教えていただき、非常に助かりました。

小川:事業再構築補助金の申請に関して、具体的にどのような部分が大変だったのでしょうか?

野長瀬:特に申請時に必要となる事業計画書の作成に関して、小川さんにはご尽力いただいたのですが、その際に「私自身が事業の数値面を考えきれていなかった」ことに気づかされました。例えば、5年分の売上や原価などを算出した際、実際どれくらいの額になりそうか、小川さんと話すまで数値の解像度が高まっていなくて。元々私自身が事業計画書を作っていて、それを小川さんとブラッシュアップしたのですが、全然数値面を考えきれていなかったなと。そこをまた1から考え直すのが非常に大変でした。

小川:野長瀬さんご自身が作成された事業計画書を拝見した際に、もちろん補助金申請用に書き直す必要はあったのですが、内容自体もしっかり考えられているなと感じました。数値面も考えた上で、作成されていましたよね。

野長瀬:ありがとうございます!2週間くらいかけて、毎日深夜まで事業計画書と向き合った甲斐があります。ただ、当時自分自身で事業計画書を作成していたときは、完成イメージが湧かず、どのようにリサーチすべきかも分からなくて。小川さんと逐一コミュニケーションを取り、事業計画書を細部まで詰めることができ、非常にありがたかったです。

小川:事業への思いも明瞭に記載されていて、弊社内でも「良い事業計画だね」と話題になりました。

野長瀬:そう言っていただけると、とても嬉しいです。

■事業計画書の重要性について

小川:野長瀬さんご自身で作成されていた事業計画書も質が高く、弊社としてもサポートに入りやすかったです。その結果、事業再構築補助金も今回通ったのかなと考えています。弊社を利用する前から、そもそも事業計画書を作らないといけないという認識はあったのですか?

野長瀬:「融資を受けたい場合は事業計画書が必要だよ」と周囲からよくアドバイスいただいていたこともあり、事業計画書の必要性は認識していました。そこで、まずはいろんな先輩経営者に事業計画書を見せてもらい、何を盛り込む必要があるのか分析しました。その後私自身で事業計画書の作成を進めたのですが、いくつか課題に直面しました。例えば、ロレッタはモノを仕入れて売る会社ではないため仕入れ先が記載できず、代わりに何を記載すれば良いのか分かりませんでした。当時は分からないなりに模索しながら作っていましたが、満足がいくものにはなりませんでした。

小川:たしかに音響制作の会社は数も少なく、事業形態なども特殊ですよね。なかなか類似の事業計画書も見つからないと思います。一から自分で作るのは大変ですよね。

野長瀬:そうですね。そこで、何から着手すべきかをもう一度考え、まずは会社や事業のアピールポイントを精査するところから着手しました。最初に会社の説明資料をスライドで30ページほど作成し、会社概要や事業内容などを網羅しました。その上で、必要のない情報を削除して、最終的には7ページに集約し要点をまとめました。この作業を挟むことで、会社や事業のアピールポイントを整理した上で、要点を事業計画書に盛り込むことができました。

小川:素晴らしいですね。創業時点で計画的に事業計画書を作る人はなかなかいらっしゃらないです。

野長瀬:ありがとうございます!ただ、事業再構築補助金を申請するにあたっては、数値面での戦略を立てたり、事業計画書の文言自体も練り直す必要がありました。御茶ノ水総合研究所に相談することで、私自身では解決できなかったこれらの課題を解決することができました。

■御茶ノ水総合研究所のサポートについて

小川:弊社で事業再構築補助金のサポートを進めるにあたって、良かったところを教えていただきたいです。

野長瀬:ミーティングを設定して、事業計画書の項目を一からじっくり見てくださる点ですね。一項目ずつ確認してくださるので、私自身も「この文章はなぜ必要なのですか」と質問して意図の把握に努められたため、融資の際に事業計画を実際に説明するときも、自分の言葉で語ることができました。事業計画書を作成するにあたって、私自身の事業への想いもミーティングで直接お伝えすることができ、私の理想の事業計画書が完成しました。あのミーティングは私にとって、とても大切でしたね。

小川:事業計画書の作成にあたっては、我々も事業について理解する必要があると感じています。事業について理解することで、審査員にも伝わる事業計画書が作成できると考えており、野長瀬さんにも事業計画書の作成時にたくさん質問させていただきました。事業への想いやビジョンなどをお聞きすることによって、アピールポイントも明確になりました。

野長瀬:事業内容である「音響制作」についてイメージが沸く方って本当に少なくて、実は毎回事業内容を説明するのにも苦労していました。事業計画書の作成を通じて、事業のアピールポイントなどが明確になってきたことで、私自身もどんどん作り込みたくなって、「この部分も付け加えてください」と相談させていただくことが多かったです。結果的に、今では事業計画書を見てもらうと、事業概要をほとんどの方が理解してくださるので本当に助かっています。

小川:そう仰っていただけてとても嬉しいです。一方で、改善して欲しい点はありますでしょうか?

野長瀬:強いて言うなら、「申請完了までのスケジュールと、現在どのステップにいるのか」を可視化してお伝えいただけるとありがたかったですね。当時資金繰りに焦っていたので、今は申請のどの段階なのか、いつまでにどのようなアウトプットが完成するのかを提示してもらえると、より安心材料が増えるなと感じました。

小川:補助金関係はスケジュールややるべきことも煩雑なので、そこが明確になると確かに安心できますよね。ここは改善いたします。

■補助金・融資獲得や経営者としての大変さについて

小川:実際に事業再構築補助金が採択された時は、どのようなお気持ちでしたでしょうか?

野長瀬:宝くじに当たったかのような気持ちになりました。泣きましたよね。事業が認められたという事実に加えて、お金もついてきて、非常に嬉しかったですね。ちゃんと補助すべき事業と思ってもらえたことがありがたかったです。当時、予想していたよりも資金繰りに苦労していたので、事業再構築補助金が採択されたことは大きな希望になりました。採択された日のことは今でも覚えていて、忘れることはないですね。

小川:事業再構築補助金を進めると同時に、ご自身でも積極的に融資などを獲得するために活動されていましたが、実際に資金を集めるにあたって得た学びなどありましたか?

野長瀬:「数値をどこまで把握しているか」がとても大切だなと思いました。いろんな視点で、売上見込みなどを定量的に語れることが重要だなと。例えば、現在のスタジオの売上、5年後のスタジオの売上、スタジオと音響制作の原価など、各数値を把握する必要があると思います。音響制作事業の場合、ゲームやアニメなどコンテンツによって金額も異なるので、それぞれの金額感を言えるようになるとか。ネガティブな印象を与えないためにも、経営者として数値面は把握しておくべきだなと思いました。

小川:数値周りの把握は大変ですよね。

野長瀬:小川さんに数値周りをまとめていただいて本当に助かりました。本当に私自身数値周りの把握が向いておらず、質問されると頭が真っ白になってしまうので、数値面をサポートいただけたのはとてもありがたいです。

小川:とはいえ、苦手なことに関しても、実際にご自身で一度やってみるところが素晴らしいなと思いました。銀行に融資を依頼する際も、大量に提出資料が求められたり、収益計画を提出する必要があったり、色々と大変ですよね。

野長瀬:本当に大変だったので、小川さんに細かい部分まで相談させていただきました。お安い価格で依頼していたため、ここまで頼って大丈夫なのかなと心配になったりもしました。ただ、実際に私自身で一度やってみましたが、本当に数値面を考えることは不得手だと身をもって実感したので、ありがたく頼ませていただきました。

小川:数値面でのサポートと、事業概要が伝わる事業計画書を作成でき、私としても嬉しかったです。今後とも野長瀬さんのサポートをできればと考えています。


【インタビュアー紹介】

小川 奏

大学在学中に学生インターンとして、アクセス解析やSNS運用などに携わる。
2017年4月よりIT系企業に勤務し、マーケティング部署及び生産管理部署に所属。
2020年11月に退職後、個人でライティングなどの業務を請け負う。
2022年1月より株式会社御茶ノ水総合研究所に参画。

<得意分野>
・管理会計に基づいた事業計画の策定
・融資や補助金などの資金調達支援
・上場を目的とした資本政策の策定
・webマーケティング/webライティング


【資金調達支援について】

融資・補助金や助成金など、企業の経営状況や事業計画に応じた資金調達を行います。

補助金の採択率は90%を超え、高い採択率を達成しています。

また、金融機関出身者によるアドバイスや銀行交渉の支援も行っており、融資においても高い成功率を維持しています。

特に下記に挙げる資金調達において、豊富な支援実績があります。

・日本政策金融公庫及びその他金融機関等による融資申請支援

・経済産業省による補助金申請支援

・その他省庁及び自治体主体の補助金及び助成金申請支援

この記事を書いた人

株式会社御茶ノ水総合研究所